ゴムの木と熱帯林の問題

今回はゴムノキのお話をします。
名前から想像できるようにゴムの原料となる木です。
先日、インドゴムノキとパラゴムノキの剪定(せんてい:枝を切ること)をしました。温室内の狭い空間では、剪定をおこたると
他の木とぶつかってしまったり、下の植物に光が届かなくなってしまいます。
剪定前の写真は暗いですね。下の草が深い緑色をしていることから、光が届いてないことがわかります。
そこで剪定が必要となります。
剪定後がこちらです。下まで届いた光が下草に反射して白く見えます。
剪定中、枝を切ると、白いねっとりした汁が出てきました。この白い液体を乳液といいます。ゴムの原料となるのは、
この乳液です。
ところで、インドゴムノキとパラゴムノキ、両方ともゴムの原料として使われているのかというと、そうではありません。
パラゴムノキの乳液のほうがゴムの原料として質がよく、今ではほぼこちらが使われています。
東南アジアの各地では熱帯林が切り開かれ、ブラジル原産のパラゴムノキ畑が広がっています(プランテーション農業)。
近年では石油からつくる合成ゴムもたくさん生産されるようになりましたが、ゴムノキからつくる天然ゴムの生産量はいまだに
増加傾向だそうです。
また、パラゴムノキよりももっと収益のあがる、アブラヤシに変換する農場も増えていますが、どちらにせよ、もともと熱帯林だった場所を切り開いたプランテーション農業です。
東南アジアの人々の生活にとっては、ゴムノキやアブラヤシの栽培は大きな糧となります。しかし、そのために多くの生物が
すむ熱帯林が破壊されてしまうのは大きな問題です。
これは東南アジアだけの問題ではなく、ゴム消費大国である日本の私達も考えなければいけない問題ですね。
ちなみに、天然ゴム製品は自動車のタイヤやチューブ、手袋、粘着テープなどさまざまなところで使われています。
これらの製品の無駄使いをなくしたり、環境に配慮した製品を選ぶようにしたいですね。
こぼれ話を書きながら、ラベル等を見ずについつい安いものを選びがちな自分を反省しました。
話は戻ってねったいかんのゴムノキですが、今ではもう新芽が伸びてきています。
赤い苞(ほう)で新芽を包むのはインドゴムノキです。キレイですね。
パラゴムノキは、赤っぽい新芽がうつむいて下にたれさがっています。
寒くなると新芽は見られないので、この様子が見られるのは秋までの季節限定ですよ!
( I記)

植物担当スタッフのこぼれ話 | 更新日:2012.10.11

ねったいかんのオリジナル

ねったいかんで展示している物の中には、オリジナルのものがたくさんあります。
器用なスタッフやスタッフの家族まで巻き込んでいろいろ手作りしています。
不器用な私が紹介するのもナンですが、少しだけ紹介したいと思います。
みなさんのお宅の「緑のカーテン」。今年の出来栄えはいかがでしたか?
春の企画展に登場した「ゴーヤーちゃんたち」。
「こんなぬいぐるみが展示に欲しいんだけど・・・」からできあがったごーチャン・やーチャン。男の子と女の子です。
つるの中にはなんとビニタイが入っています。
一番大変だったのは緑色の生地をみつけること。確かにこんなグリーンの洋服着ている人いないですよね。
次に紹介するのは「水でっぽう」
夏休み期間から9月の下旬まで、暑い時期にバンダの水やり体験。大人の方にも
楽しんでいただきました。
竹を用意し、中の棒にスポンジを巻き、その上に布をかぶせ、ひもできっちり結わえる。この一連の作業の調節が大変でした。
1号から5号まであったのですが、何度も使用するうちに、しゅっぽん!の音が鈍くなったり、逆に漏れるものありでごめんなさい
でしたが、来年はもっと良いものができるように頑張ります。
最後は屋根の修理です。
温室内にあるマレーハウスの屋根は何でできているかご存知ですか?そうニッパヤシの葉です。温室内は結露(けつろ)が
発生しやすく、みなさんも頭にポッタンと水滴が落ちてきてビックリされた経験がおありだと思います。
マレーハウスの屋根の同じ場所にいつも水滴が落ちてきて、屋根に穴が何ヶ所も開いてしまっていました。雨漏りのするあばら家をなんとかしなければ・・・・。
器用なスタッフが、剪定(せんてい)したり、枯れたヤシの葉を水につけて柔らかくし、糸代わりに違うヤシを使ったりして、
すっかりきれいに仕上げました!ねったい館にお越しの際はぜひマレーハウスの屋根を見てくださいね。

植物担当スタッフのこぼれ話 | 更新日:2012.10.06

大好き!ハワイ展の植物たち

今、ねったいかんでは、「大好き!ハワイ展」を開催中です。
レイやフラの衣装、ハワイアンキルトも素敵ですが、植物にも注目!
   
まず入り口にはパイナップルの仲間の植栽があります。色々な種類があるものですね。
その中でひときわ目立つのが、こちらです。
皇帝アナナス(Alcantarea imperialis)です。
皇帝アナナスはパイナップル科では最大級の大きさになり、花茎が立ち上がると
高さ2メートル以上にもなります。株が花を咲かせるまでには10年くらいかかります。
全ての花が咲き終わると、その株は枯れてしまいます。
めったに見られない珍しい品種なので必見!です。
続いてハワイの自生種を1つ紹介しましょう。ビーチナウパカ(Scaevola sericea)です。
花が半分に見える変わった形をしています。花と花を合わせて一つにすると、その男女は
結ばれるといわれています。ロマンチックですねぇ。
ハワイにはこの花にまつわる悲しい物語があります。詳しくは「大好き!ハワイ展」会場でどうぞ。
「この~木なんの木気になる木~」のTVCMでおなじみのモンキーポッド(Samanea saman)です。午後になると葉が
ネムノキのように閉じてちょっとカワイイのです。
メキシコからペルー、ブラジルにかけて分布しますがハワイではちょっと困った木で侵略的外来種に指定されています。
このような外来種が何種類もあるのです。
きれいだ、役に立つ・・・などで導入したまではよいのですが、増えすぎて島にある固有種を絶滅させるまでに…。
考えさせられますね。詳しくは展示会場でご確認ください。
                 
(M記)

植物担当スタッフのこぼれ話 | 更新日:2012.09.19

夏夕方のねったいかんはイイ香り

夏のねったいかんは鮮やかな花がたくさん見られます。
でも、熱帯の花の楽しみ方は見た目だけじゃないんです。
夕方にマレーハウス下を歩くと、どこからかあま~い香りが!!
キョロキョロあたりを見回すお客様をたびたびお見かけしますが、たいていの方は香りの出所を発見できません。
それもそのはず、出所は頭上にあるんです。
それは、オウソウカという淡い黄色いこのお花です。
この植物に関しては以前に紹介していますので、そちらをご覧くださいね。
このオウソウカトラップをすぎて先に進んでも、まだあま~い香りが漂っています。
「目の前の真っ赤なお花かな?(サンタンカ)」
いやいや、出所はもう少し先にある可愛らしいピンクのお花。名前はシクンシ。
この植物は夕方咲いた時は白っぽいですが、だんだん色がピンクに変化します。
それにしてもなぜ昼間でなく夕方に香るのでしょう?
そもそも、香りは花粉を運んでもらう虫を呼ぶための道具です。甘い香りで虫を誘います。
「虫を呼ぶためなら昼間に香ったほうがいいんじゃないの?」
いやいや、違うんです。
熱帯には夕方おきだして夜に活動する虫がたくさんいるんです。
日本にも多くのガやカブトムシ、クワガタムシは夜に行動してますよね。
熱帯にはもっとたくさんの夜行性の昆虫がいます。
夜は暗いので花の色形がわかりませんが、香りならわかりますよね。
昼間は暑くて外に出る気がしない熱帯の昆虫タイプの方は、日かげが多くなる夕方にぜひご来館下さい。
ただし、ねったいかんの受付は17:30までですのでご注意を!!
(I 記)

植物担当スタッフのこぼれ話 | 更新日:2012.09.13

バンダの水やりに挑戦!

夏休み期間に水鉄砲コーナーを設置しました。
最近はあまり見かけないですが、竹の水鉄砲です。
なつかしいですね。
平成生まれの子供たちは使ったことのない人も多いのではないでしょうか?
プラスチックの水鉄砲とは違い、水を打つときのあの「シュポッ」という手の感触が楽しいですよね。
夏休み期間中は子供たちに人気のコーナーでした。
ご好評につき、まだしばらくこのコーナーは延長しますので、ぜひ遊びに来てください。
ところで、なぜねったいかんに水鉄砲があるのかというと、このコーナーはバンダという植物の水やり体験コーナーなんです。
水鉄砲でバンダの根に水をかけてあげます。
バンダは着生ランで、根は土の中ではなく空気中に出ています。
夏のバンダはたくさん水をほしがります。
ご来館の際には、水をかけてあげてくださいね。
(I記)

植物担当スタッフのこぼれ話 | 更新日:2012.09.08

最近の見どころ

相変わらず暑い日が続き、水やりが大変な毎日です。
でも、一本一本の木や草に潅水(水やり)をしていると、植物たちの日々の変化を発見できます。
例えば・・・
ミズレンブがたくさんの花を咲かせました!順調に行けば、試食会を開けるだけの実がなるかもしれませんね。
ゲッキツも白い花を咲かせてます。近くを通ると、香水のような良い香りがします。そんな香りに誘われて、今朝は緑にオレンジ斑点のおしゃれな虫が花を訪れていましたよ。
ゴバンノアシも今年第2弾の花を咲かせています。しかも、第1弾のときよりもたくさんつぼみができてます。
まだまだたくさんの花や実が見られますが、最後にもう一つ!
葉っぱにタコさんウィンナーがぶら下がってますね。これは私のお弁当のウィンナー、ではなく、じつはなんです!
オヒルギというマングローブの花です。
普通の植物が生えない海辺(干潮帯)に育つマングローブは、さすがお花もへんてこですね。
この花は見つけるのがちょっと難しいですが、1階受付のドア横から見ると発見できます。
これを見つけられたらねったいかん上級者です!!

植物担当スタッフのこぼれ話 | 更新日:2012.09.04

植物の名前・・・「ブラキキルム・ホースフィールディー」

ブラキキルム・ホースフィールディー
ねったいかんにはたくさんの植物がありますが、そんな中でこの「ブラキキルム・ホースフィールディー」はもっとも名前の
覚えにくい植物ではないでしょうか?
この花はシュクシャの花に似ていて、6月頃には咲き終わり、現在は赤と橙色のコントラストが美しい実がご覧いただけます。今年は特にたくさんの花が咲きました。(冷室に咲いています)
ねったいかんの担当になって間もなくのころ、この植物名は?と写真をお持ちになられた方からの質問に、開花前でまだ見たこともなく、シドロモドロになって冷や汗をかいてしまいました。そんなこともあり、念仏のように唱えて覚えましたが、
ブラキキラムなのかブラキキルムなのか混同してしまうことがその後もありました。 
ラン科のブルボフィルムもバルボフィラムと表現されていたりしていて、いったいどっちなの!と叫びたくなる植物がたくさん
あります。ラテン語をカタカナ表記するのはやはり無理がありますよね。
職業柄なるべく多くの植物名を覚えたいと思っていますが、あるランの大家にご自宅の温室のコレクションをご案内いただいた際に、「植物の名前は人間が勝手につけたものだから気にしなくてよいとのこと。名前がAでもBでもCでもその個体はひとつなのだから・・・・」  さすがに世界中のランの原生地を見てこられた方の言葉だからこその重みがありますね。
植物は原種だけでも25万種もあるのだから全部はとても覚えきれないですが、せめて館内の約1000種の植物名は覚えないとね!
                                                                           K記

植物担当スタッフのこぼれ話 | 更新日:2012.08.22

ゴバンノアシの花が咲きました

(上の写真は去年咲いたゴバンノアシです。)
温室内の熱帯低地林ゾーンの池側にあるゴバンノアシの花が咲きました。
今年は園路から見やすい場所に着花しました。
(こちらは今朝のゴバンノアシ。最初に咲いた花はもうしぼんでしまいました。)
ふくらんでいるつぼみが、明日には咲くかも・・・しれません。(絶対に咲く!とは言い切れません。ごめんなさい。)
花が咲くのはたった1日で翌日には散ってしまいます。
一輪でも近くがパーッと明るくなるような美しい花です。
どうしても見たい!という方は、お電話でお問い合わせください。
ゴバンノアシは夜に花が咲くことが多いため、午前中の早い時間をおすすめします!

植物担当スタッフのこぼれ話 | 更新日:2012.08.02

ねったいかんなのに冷室?

ねったい館には温室だけではなく、ミニ水族館や、熱帯の高山を再現した涼しい冷室があります。
冷室は真夏でも室温が25度を越えないように管理しています。
ミスト(霧)のかかった雲霧林でホッと(クールなのにホット?)されてはいかがでしょうか?
作業する私達も夏場の冷室は本当にホットします。冬場は無加温にて管理しています。
霧を見て、小さいお子さんで、こわいっ!と泣き出す人がいますが、煙ではありませんのでご安心を!ランやノボタン、熱帯性のシャクナゲや ウツボカズラなどを生体展示しています。
原種のランが咲いていますので是非実物をご覧下さい。
森の中で、こんな花たちを見つけた人はどんな気持ちだったのかしら・・・と改めて原種の持つすばらしさ・種の保存の
大切さを思わずにはいられません。

植物担当スタッフのこぼれ話 | 更新日:2012.07.01

「館内のランたち」

 こぼれ話がすっかり滞ってしまいました。すみません。反省…
ここ2~3日はさわやかな気候で過ごしやすかったのですが、突然の豪雨、地震と続くと気分が落ち込みますよね。でも、
植物はぐんっ!ぐんっ!と生長しています。暑くても寒くても多少放っておかれても、文句もいわずに生きています。えらいっ!
 さて新春恒例となっております「らん・ラン・蘭展」には多くの皆さまにご来館いただきましてありがとうございました。
ねったいかんではラン展以外でもたくさんのランがご覧いただけます。
 世界最大のランといわれているグラマトフィルム スペキオスム。
グラマトフィルム スペキオスム
 別名タイガーオーキッド。まだ当館では開花していませんが、なんと根が上向きに生えているんです。温室の
ビヨウタコノキや、冷室の入り口手前にありますのでぜひご覧下さい。根って地中に下向きに伸びるもの!だけでは
ないんですね。
「早く咲かせて見せてっ!」の声があちこちから聞こえてきます・・・。努力はしているのですが・・・今しばらくお待ち下さい。
 ちなみにエントランスにはグラマトフィラムの園芸種のスプリクタム ヒヒマヌがあります。ほかにも館内にはバンダや
アスコセンダなど華やかなランやバルボフィルムのような地味なランもありますので、温室内をゆっくりとご覧いただき
ながら見つけてみてくださいね。

植物担当スタッフのこぼれ話 | 更新日:2012.06.02
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