一足早い 春の訪れ
もうすぐ3月だというのに、まだまだ寒さが厳しいですが、ねったいかんでは一足先に春を感じる今日この頃です。
春の訪れを真っ先に教えてくれるのはキワタノキです。
この木は冬の間は葉を落とし、春になると葉が出るより先に花を咲かせます。まるで桜のようですね。
色合いは、はかなげな桜と違ってショッキングオレンジと熱帯らしい色合いです。
他の植物たちももう新芽を伸ばし出しています。
冬の間、静止しているかのように見えた植物に変化が現れる春先はなんだかウキウキしますよね。
そこで、私の気持ちを明るくしてくれる3タイプの新芽をご紹介しましょう。
まずは、「葉っぱの赤ちゃんたち」
まさに赤いです。このような赤い新芽は珍しくはなく、私たちの周りにある植物にもしばしば見られます。
赤い色素はまだ成長しきっていない葉を強い日差しから守っているといわれています。
次に、「ぐるぐる渦巻きタイプ」
これはワラビのようなシダ植物で見られる新芽ですね。
そして、「タテロールタイプ」
これは単子葉植物で見られます。このタイプの新芽が虫に食べられてしまうと、葉が生長して開いた時に、
虫穴が列になります。時々このような葉を見かけますよね。この穴の列には、植物の新芽の形に理由が
あったんです。しかし、なんてぜいたくな食べ方でしょう。
他にも、植物によって新芽の形は様々です。
植物園に来たら花に目が行きがちですが、春先はかわいい新芽で季節を感じるのもオツですね。
( I 記)
バニラの香りでにっこり!
連日寒い日が続いておりますが、お元気ですか?
バニラがやっと色づき、発酵(はっこう)を始めました!とっても癒される香りです!
水族館から池の前の階段を上がったつきあたりに、バニラがヘゴにからまって回廊までのびている株があります。
そのバニラの下のほうに、色づき始めたバニラビーンズが1本ありますので、お顔を近づけて、ぜひ香りを体験してみてください!
色づき始めたバニラビーンズ
あるパフューマーの方が、「ねったいかんのバニラは、ことのほかいい香りがしますね」とほめてくださいました。
体験された方はどなたもにっこり!うっとり!こちらまでうれしくなってしまいます。
やはり、お子さんはとても香りに敏感で、近くにいるだけで、“アイスのにおいっ!” と元気よく答えてくれます。
今年は寒さが厳しく、バニラの蕾(つぼみ)もなかなかふくらんできませんでしたが、やっと、ちらほら蕾(つぼみ)を確認できる
ようになりました。
バニラはラン科植物にはめずらしく、つる性の植物で、とてもたくましい植物です。
コンクリートの垂直の柱も何のその!どんだけのびるの~!って感じです。
どんどんのびる!
ベラーメン(根被)の細胞層(さいぼうそう)に覆(おお)われた太い根は、巻きつくものがあれば
しっかりと巻きつき、巻きつくところがなければ、地面に到達するまで下に下にと垂直にたらします。
(ねったいかんでは5m以上にのびています。)
バニラは1日花で、温室の中にはポリネーター(受粉してくれる昆虫や小動物)がいないので、
早朝に受粉をしなければなりません。
バニラはとても受粉させにくく、バニラビーンズ1本が1000円近くにもなるのがわかる気がします。
昨年の不作や円安で今後も高騰(こうとう)が予想されます。
ねったいかんでも、毎年人工授粉を試みているのですが、うまくいく年、いかない年と様々です。
同じ方法で実施しているのですが、ここのところ、成功率が下がっているのが気になります。
花粉塊(かふんかい)と柱頭(ちゅうとう)との間の小嘴体(しょうしたい)という壁をおしのけないと、
受粉ができないのです。
受粉は大変!
効率的な受粉方法を発見したのは1820年代マダガスカル島に近い当時のフランス領ブルボン島(現在のレユニオン島)
のなんと12歳の奴隷だったエドモン・アルビウスでした。今でも世界中で彼の編み出した受粉方法で人工授粉が行われています。
受粉が上手くいき、サヤインゲンのような実ができ、香りがするようになるまで、なんと約1年かかります。
(市販されているものは特別な処理【キュアリング】を行い早く発酵させています。)
こんなにもみんなを笑顔にさせてくれる香りは他になにかある?
最近ではお菓子の香り付けのみならず、シャンプーや香水、化粧品にも使われるようになったとか・・・
バニラビーンズが落ちてしまうまでに、早く見に来てくださいね。 ( K 記 )
ねったいかんのいつも元気な困った草たち
今年は東京でも9センチもの雪が積もり、まさに冬本番といった感じですね。
らん・ラン・蘭展ではたくさんの方々にご来館いただき、ありがとうございました。
明日、29日からは 「早春の花展」 が始まります。
みなさまのご来館をお待ちしております!
冬本番でも当館は常夏!!とはいかないまでも常春!くらいにはなっていますよ。
冬でも暖かく楽しめるねったいかんなのです。
いつも暖かだと熱帯の植物たちも元気・・なのはいいのですが、あまり歓迎されない
植物たちもすくすく育ちます。
今回のこぼれ話は温室内に生え過ぎて困る、雑草についてです。
「雑草という名の草はない」とはあまりに有名な言葉ですが、ねったいかんにはびこる
歓迎されない雑草たちの正体を明らかにしちゃいましょう!
まずは第3位!
ちっちゃいオクラ?
カタバミ(Oxalis corniculata・カタバミ科)花言葉は「輝く心」です。いいですね。
葉はクローバーのようですが、違う仲間です。黄色い小さな可愛らしい花が咲きます。
花の後には上の写真にあるようにオクラを小さくしたようなサヤが実ります。このサヤに
さわると・・ぷちぷちはじけて小さな種が飛んでいきます。そうして次々と発芽します。
さらに厄介なことに宿根草なんです。しかも根が深く、抜きにくい。増えるわけです。
続いて第2位!
短いオニタビラコ
オニタビラコ(Youngja japonica・キク科)花言葉は「純愛」「仲間と一緒に」です。
こちらもなかなか素敵ですね。通常秋に発芽し、そのまま冬を越してよく春以降に枯れる
越年草(えつねんそう)です。ねったいかんでは暖地と同様に1年中花が咲いています。
上に花の写真がありますが、温室内の四季が外ほど明瞭でないためか花茎が伸びず、低い位置で咲いてしまっています。
ふわふわ綿毛のよう
こちらは種の冠毛(かんもう)の写真です。タンポポのようにふわふわ飛んで、着地した場所で発芽します。これで1年中咲いて
いるわけですから、増えるわけですね。
さて、堂々の第1位は!!
第一位!
ナガエコミカンソウ(Phyllanthus tenellus ・トウダイグサ科 )です!
花言葉は残念ながら分かりません。アフリカ原産の帰化植物で日本には1990年代に確認され、急速に広まっています。
よく見るとミカンに似た小さな実がついています。東京では冬が越せないため、1年草として扱われますが熱帯では
低木状(!)にまで大きくなるそうです。当然、温室内で放っておいたら大変なことに・・
しかも10センチにも満たない小苗まで結実しますから、繁殖力は半端ではありません。
大繁殖!
上記3種類のコラボレーションが見られることも・・
三役揃いぶみ!
普段、注目されることのないこれらの草たち。なるべくお客様の目に触れることの無いよう、植栽スタッフ一同、頑張ります! (M記)
ナイトジャングルツアーやってます!
*ナイトジャングルツアーは1月20日で終了いたしました。
12月から、開館中でも暗くなる季節を利用してナイトツアーを行っています。
懐中電灯を持って、暗い植物園を探検するイベントです。
(注:ガイドのつくツアーではありません。)
当初12月だけの企画でしたが、延長して1月20日まで行っています。
どんなイベントか、バーチャル体験してみましょう。
まず受付で懐中電灯をゲットしましょう!エコでかわいい懐中電灯を貸し出しています。
水族館をぬけて、この看板を見つけたらナイトツアースタートです。
館内は暗くなってます。普段と違う植物館はドキドキします!
館内の12か所にナイトツアー用のパネルがあるので、探してみましょう。
ちなみに、一つ目はムラサキモクワンジュという木です。昼に開いてる葉っぱが、夜には閉じています。植物も実は動くんですよ!!
植物以外にも、動物の足あとや写真が隠れています。
足あとに懐中電灯の光をゆっくり10秒以上照らしたあと、光を消すと・・・・光ります☆
12か所のパネル以外の植物も、あんなのやこんなの、面白い葉っぱが暗闇に隠れてますよ。
すでにナイトツアーに参加したことある人には上級編「サイチョウくんからの4つのミッション」もご用意してあります。
ナイトツアーは、1月20日までの限定イベントですので、ぜひおこし下さい。
( I 記)
「らん・ラン・蘭展2013」始まってます!
あけましておめでとうございます。本年もどうぞよろしくお願い申しあげます。
スタッフ一同、楽しいねったいかんになるよう、頑張ります!
今年の元旦はとてもお天気もよく、おだやかな新年の幕開けとなりましたね。
みなさんはどんなお正月をおすごしでしたか?
ねったいかんでは28日から1日まで休館日となっておりましたが、植物や魚たちは年間を通して365日の管理を
行っていますので、当然休館日も出勤です。
大みそかも元旦も準備に追われていました。
そんな中、1月2日から「らん・ラン・蘭展2013」が開催中です。
今年は昨年の夏の暑さなどの影響で、ランの咲く時期が大幅にずれ込み、展示等が心配されましたが
いろいろな方のご協力のもと、無事開催にこぎつけました。
ラン展の中で今回特に注目していただきたいのは「切り絵と紋切り」です。
切り絵では、大きな門松の中にセロジネやファレノプシス・デンドロビュームにカトレヤ・・・・「火の鳥」のモデルともいわれている
ケツァールも飛んでいます。またベゴニアやシダ、ウツボカズラ、デイコ、オオタニワタリ、プルメリア・・・・などなど
また、紋切りでは、モンステラやパフィオペダルム、コチョウランなど植物もありますが、もう一つの図案の中には、魚やエビも
かくれています。ぜひみなさんで見つけてください。
また、書初めコーナーもあり、今年の目標をみなさんに書いていただいています。
ちなみに私の今年の目標は「人にも植物にも優しく上品でありたい・・・」です。
8日には新しいランも入荷します。お楽しみに! K記
ナイトツアー延長 & 上級編の追加
12月に行ったナイトツアーを1月も延長することとなりました。(1月20日まで)
さらに、すでにナイトツアーに参加された方のため、上級編も追加しています。
ナイトツアー
懐中電灯を持って暗い植物館を探検するイベントです。光る足あとなどもありますよ!
ナイトツアー上級編
暗い植物館の中で、ねったいかんキャラクターのサイチョウくんが出す4つのミッションをクリアーしよう!
お肌によくない乳液?
いよいよ今年も残すところ、あと1か月足らずですね。
ねったいかんでは企画展キラキラ☆クリスマスの真っ最中!
期間中は夕方4時過ぎ頃から「ジャングル探検ナイトツアー」を毎日開催しております。
懐中電灯を片手に薄暗い温室を探検します。そこでは何に出会えるかな?お楽しみに!
動物の足跡が光っているよ!
神秘的な幸せの滝
ポインセチア(Euphorbia pulcherrima)もいっぱいですよ。販売もしております。ぜひお越しください。
クリスマスにかかせないポインセチア
最近めっきり寒くなって、空気も乾燥してきました。乾燥はお肌の大敵ですよね。乳液でお肌のお手入れをしている方々も多いことでしょう。(男性の私は特にしませんが。)
数ヶ月前のことですが、キャッサバ(Manihot esculenta・トウダイグサ科)の剪定をしておりました。
よく伸びるんですよね。
キャッサバの葉
枝をチョキンと切ると切り口から白い液体がタラリ。これが乳液です。袖についた乳液がいつの間にか、
染みてきて素肌についてしまったようです。
キャッサバの切り口から乳液が
その日の夕方のこと赤くはれ上がってかゆくなってきたではありませんか!その後何日か、かゆみに悩まされました。
前述のポインセチアもトウダイグサ科。乳液は皮膚炎になる可能性があるので注意!です。
他にも乳液が出る植物はキク科・キョウチクトウ科・クワ科・ケシ科・アカテツ科など、世界中で数万種あると
いわれています。
キョウチクトウ科にはプルメリアがあります。触ると皮膚炎、口から入ると下痢や嘔吐の可能性も。牛乳みたいだからって、
間違ってもぺロリ!なんてしないでください。
プルメリアの切り口からも…
他にもキク科のタンポポ(Taraxacum sp.)の乳液は毒があるどころか、乳がんの発病が遅れたというマウスの実験結果も
あるそうです。
ケシ科のケシ(Papaver somniferum)の乳液は麻薬のアヘンの原料になったり、アカテツ科の
サポジラ(Manilkara zapota)の乳液はチューインガムの材料になります。
サポジラ
植物乳液はまだまだ研究途中です。これからもいろいろ発見されるでしょう。注目です!
お肌にいい乳液なんてのもそのうち見つかるかも知れませんね。 (M記)
ドングリとツチグリ
只今開催中「里山の生き物展」にはいらっしゃいましたか?11月25日まで開催中です。
この展示の一部にどんぐりを展示しています。
どんぐりといったら
こんな形ですよね。帽子をかぶったような形が可愛らしいですよね。
この帽子、よく見るといろんな形があるんですよ。
それではお帽子のファッションショーをお楽しみください!
これ、実はきのこでその名はツチグリ(土栗)。
よくご存知のキノコと違い、星型をしています。最近、ねったいかんでよく見かけます。
真ん中の膨らみを押すと
勢いよく胞子が出てきました!(ピンボケ写真ですみません)
これは、雨水などの水滴がきのこに当たった瞬間に胞子を出す仕組みになっているのだ
そうです。
ちなみに、キノコは木に寄生して栄養を奪うイヤなやつというイメージがあるかもしれませんが、逆に、木の根っこと共生して(菌根)、木に栄養を分けてくれるキノコも多いんです。
ツチグリもそのタイプなので、ねったいかんの木には悪影響はありません。
むしろ、菌根菌と共生している状態は自然界の木と同じ状態に当たるので、ご心配なく!!
気になる方はマレーハウス近くのミサキノハナ周辺で探すと見つかるかもしれませんよ! ( I記)
見て!みて!実
急に季節が進み、いよいよ木枯らしの季節がやってきますね。でもねったいかんは・・・あねったいかん!?
他の植物園に比べ、設定温度が3度位低いので冬は亜熱帯の感じでしょうか?温かいですよ。
(ただし、その日の天候に大きく左右されますが。)
ねったいかんでは現在、特別企画展「里山の生きもの」を開催しています。収穫の季節ですね。
しばらく結実をお休みしていた、カカオやジャックフルーツも生長をはじめ、現在、カカオ・サンジャクバナナ
ジャックフルーツ・バニラ・ミラクルフルーツの実が見ごろとなっています。ぜひご覧くださいね。(K記)
素通りなんかさせないゼ!!(第1回)
ねったいかんには様々な植物がありますが、どうしてもきれいな花や、おいしそうな実に注目しがちですよね。
でも中には地味かも知れませんが、「これは!」という植物が結構あります。
言い換えると「玄人好みの植物」ということになるでしょうか。
そんなちょっと渋くて愛らしい子たちを不定期に紹介していきたいと思います。
第1回目は「ディノクロア・スカンデンス」(Dinochloa scandens)です。
イネ科の竹の仲間で、分布はマレーシア・ベトナム・フィリピン・オーストラリアです。
それでは、地下の水族館から階段を上がり温室へ。正面の壁を見上げてみましょう。
そうなんです。竹は竹でもつる性の竹なんです。ジグザグに伸びながらまわりに生えている樹木にからまって登ります。
ふつう、竹類の多くは竹の子が伸びきって生長が止まると、それ以上高くはならないのですが、ディノクロアは違います。
どんどん伸びます。ねったいかんでは屋上付近の窓にまで達しています。
え?そんなの竹じゃないって?ところが…
ちゃんと竹の子が生えるんです。確かに竹ですよね。
日本で一般的に見られるモウソウチク(Phyllostachys pubescens)は3~5月に竹の子が生えますが、
ディノクロアは10月に入ってから生えてきました。残念ながら食べておいしい!と聞いたことはありません…。
また写真のように竹の子が親株のすぐ近くから生えてきます。他の竹類にありがちな根が遠くまで伸びていって、
お隣の庭に生えちゃった!という心配もありません。
海外では造園的にも利用され、アーチを作るのに用いたりしています。
あなたのお庭にも是非!と言いたいところですが、寒さに弱いため日本では沖縄あたりまで南下しないと、もたないと思われます。
ねったいかんならいつでもご覧いただけます。ぜひ、ご自身の目でお確かめください。 (M記)