「ビワモドキ」の花が咲きました!
熱帯館で、開館以来はじめてビワモドキの花が咲きました。
なんと20年の歳月を経て、やっと成人?したのですね。
ビワの葉に似ていることから、その名がついたようですが、葉脈がはっきりとして、ビワの葉より大きめの立派な葉です。
黄色なのか白なのか・・・?
咲いてからのお楽しみだった花の色は白。
厚みのある卵の殻のような萼片が花を包み、花弁5枚、黄色の多数の雄しべ、
その中央にまるで別の花が咲いているかのようなかわいらしい雌しべ。
はじめて開花した花を見た時は、ワーっ!おもわず声をあげてしまいました。
翌朝、5枚の花弁は落ち、丸みのある萼片が残り、それがまた梅の花のようでかわいらしい。
知らなければ、グリーンがかった花かなと思いそうです。
その萼片も夕方頃から閉じ始め、翌日には完全に閉じました。
また蕾に戻ってしまったかのようですが、その状態でふくらみ、実になっていきます。
その実が熟さないまま落ちたので、割ってみると…まわりは玉ねぎのようで中央部には雄しべ、雌しべが残っていました。
…ので、数えてみました!!!
雄しべ!
スタッフ2名でピンセットで1本1本……地道な作業をすること1時間。
さて、さて、何本でしょう?
200本くらいかと思いきや、とんでもない!
約800本ありました!!!
個体差はあるかもしれませんが、すごい数です。
そんな1本1本、1枚1枚の集合で美しい花が形成されているのですね。
一日だけ咲いて、その日のうちに枯れてしまう一日花のビワモドキ。
今日見た花と、明日見る花は違います。
花との出会いも一期一会。
熱帯の花は一日花が多いので、そんな花たちとの出会いにぜひ熱帯館へ足をはこんでくださいね。
(H記)
ねったいかんの一斉開花
ついこの間まで、暑いっ!暑いっ!といっていたのがウソのように涼しさを通り越し、肌寒くなってきましたね!
食べ物もお酒もおいしい、危険?な季節になってまいりました。
ねったいかんでは今まで咲かなかった花が一斉開花しています。
まず最初に、グネツム。
グネツムの花
次にビワモドキ。
ビワモドキのつぼみ
ビワモドキの花
ビワモドキの花(1日花なので1日で花びらが落ちます)
次がホウガンヒルギ
ホウガンヒルギの花
ホウガンヒルギの実
最後がアルソミトラ・マクロカルパ
アルソミトラの花
アルソミトラの花
地味な花が多いですが、とても珍しい花たちです。
花と果実の大きさのアンバランスも面白いですね。
ねったいかんの温室には東南アジアをコンセプトにしているので、潮間帯にはマングローブなどが、熱帯低地林にはフタバガキなどが植栽されています。
東南アジアの熱帯低地林には、常に開花できる環境にあるのに、毎年決まった時期に咲かずに、
数年に一度だけ、一斉に開花・結実するという現象があります。
植物が開花する条件としては、気温、日長、乾燥、養分量の充実度などが考えられますが、
一斉開花はなぜ起きるのかはミステリーとされています。
一部、エル・ニーニョ現象が影響しているとか、動物に果実を全部食べつくさせないためとか、
ポリネーター(送粉者)をたくさん集めるためなどといわれていますが、いまだ解明はされていません。
動物たちは果実のない年はどうするのだろうと心配になりますが、新葉を食べたりしているそうです。
ねったいかんで考えられる開花のプロセスとしては、
①樹木が成熟した。
②例年より施肥量・灌水量を増やした。
③土壌改良を行った。
④夏の終わりに低温に当たった。
⑤ほかの植物園より温度が低い。
⑥一部落葉し、すぐに新葉が展開した。
⑦(スタッフがより愛情込めて育てた。)
などです。
香りのするものもありますので、ぜひご覧ください。
ほかにもオヒルギ、ゴバンノアシ、サンタンカ、プルメリア、カカオ、ベニヒモノキ、ベゴニア、熱帯性シャクナゲなども咲いています。
アメダマノキや料理用バナナも実っています。
どうぞお出かけください。お待ちいたしております。
個々の植物については次回をお楽しみに!
I K 記
アルソミトラが初開花!
種の形が独特で、「飛行機のモデル」といわれるアルソミトラ マクロカルパ。
アルソミトラ マクロカルパの種 風に乗りやすい形をしています
アルソミトラ マクロカルパの実 この中に種が何百枚と入ります
種は風に乗って数百メートル飛ぶそうです。
そのアルソミトラ マクロカルパの花が本日確認されました。
花の寿命は数日と言われているので、ぜひお早めにおこしください。
ビワモドキが咲きました(見どころ情報10月5日号)
本日10月5日朝に当館初、ビワモドキが咲きました。
お花をご紹介する前に、まずつぼみのお写真をごらんください。
さて、つぼみはどこでしょう?
ビワモドキ Dillenia indica
写真中央にある丸い球体がビワモドキのつぼみです。
つぼみはとても地味ですね。これが咲くと、とてもきれいなんです。
ビワモドキ Dillenia indica
つぼみは現在さらに5個ほど確認されていますので、まだこのあとも楽しめそうです。
では、次のお写真です。
こちらはカカオの木ですが、花はどこでしょう?
カカオ Theobroma cacao
幹や枝を見ると白い点々が見えませんか?
写真が悪いわけではなく、これが花なんです。
カカオ Theobroma cacao
ラストクイズ!
次の写真はマングローブの一種オヒルギですが、花はどこでしょう?
オヒルギ Bruguiera gymnorrhiza
よく見るとタコさんウィンナーのようなものがいくつもぶら下がっていますね。
これがオヒルギの花です。独特な形ですね。
オヒルギ Bruguiera gymnorrhiza
他にも、温室ではディコリサンドラ ティルシフロラがつぼみをつけ、冷室では熱帯シャクナゲがさいております。
ディコリサンドラ ティルシフロラ Dichorisandra thyrsiflora
熱帯シャクナゲ(ロドデンドロン ヤスミニフロルム) Rhododendron jasminiflorum
ツバキなのにツツジ?
だいぶ過ごしやすい季節になりましたね。
この秋、「お花や緑とたくさん触れ合うぞ!」とはりきっている方も多いのではないでしょうか。
たくさん楽しみたいものですね!
さて、今回はツバキを取り上げます。
品種名はチャンギーツバキ・別名アザレアツバキ Camellia changii(異名/Camellia azalea)です。
アザレアツバキ
アザレアツバキ
中国南部の広東省陽春市の自然保護区に自生し、詳細な場所は明かされていません。
自生地にもおよそ1000株程度しかないたいへん貴重なツバキです。
そんな謎めいたツバキですが、数あるツバキの中でもかなりの珍品です。
秘密その①) 花の咲く時期がとっても早い!
ねったいかんでは温室内で9月の中旬頃から咲き始めました。ちょっとツバキを知っている方なら、「おやおや?」と思うでしょうね。
金花茶(きんかちゃ)
加茂本阿弥(かもほんなみ)
写真はねったいかんにある黄花ツバキの金花茶(きんかちゃ)とヤブツバキ系品種の加茂本阿弥(かもほんなみ)です。
まだまだツボミは固い状態ですね。
もっとも早咲きの品種でも10月頃から咲き始めるのが今までの常識でした。ところが!です。
このアザレアツバキは7月頃から咲きだすこともある、今までのツバキでは考えられない、きわめて早咲きの種類なのです。
秘密その②) 花がねむる?
なんと夜になると花が閉じて、明るくなるとまた開く!のです。こんなツバキ、私の記憶にある限り、他にはありません。
秘密その③) 変な葉っぱ!
ヤブツバキの葉
これはヤブツバキの葉です。周りに鋸歯(きょし)というギザギザがある、典型的なツバキの葉です。
ではアザレアツバキの葉はどうかというと…
アザレアツバキの葉
「え?ぜんぜん似てないよ~」という声が聞こえてきそうです。まるでツバキらしくないこの葉、周りにギザギザがありませんね。
このような状態を全縁(ぜんえん)といいます。こんな珍しい葉の形をしたツバキは他にはありません!
さて、ここで最初に書かれていたアザレアツバキの別名を思い出してください。
アザレア( Azalea)って何でしょう?
アザレアは英語ですが、日本語に訳すと…「ツツジ」です。
言われてみればツツジの葉に似ていると思いませんか?
「アザレアツバキ=ツツジツバキ」いったいどっちなんだ!
ツッコミたくもなりますが…最近はごく早咲きのツバキを作出するために品種改良に使われています。
そのうち1年中ツバキの花がみられる時代が来るかもしれませんね。
(M記)
熱帯性ツバキが咲いています(9月2日号)
熱帯性のツバキが咲いています。
アザレアツバキ Camellia changii
温室では他に、ベニヒモノキやゴムノキに着生したラン(グラマトフィラム ヒヒマヌム)、カカオの花が咲いています。
ベニヒモノキ Acalypha hispida
グラマトフィラム ヒヒマヌム Grammatophyllum scriptum ‘Hihimanu’
カカオ Theobroma cacao
冷室では、オレンジと赤の色合いが印象的なブラキキルム ホースフィールディーが実をつけています。
ブラキキルム ホースフィールディー Brachychilum horsfieldii
「サガリバナ」 サガリバナ科
ただいま、ねったいかん回廊では鉢植えのサガリバナが咲いています。
・・・とは言え、夜に開花し翌朝には落花してしまうので、なかなか見ていただくことはできません。
サガリバナはマングローブや川沿いの湿地に自生する熱帯性常緑高木で、フジのように下向きに垂れ下がる花を咲かせます。
沖縄・西表島では、夜咲くサガリバナを見学するツアーが人気です。
川沿いに自生するサガリバナは落ちるとその花が水に浮かび、なんとも幻想的な光景が広がるそうです。一度は見てみたいものです。
今年、ねったいかんのスタッフが西表島に行った時に撮ってきた写真です。うらやまし~
このサガリバナ、花弁のように見えるフワフワの綿毛のような部分は雄しべで、花弁は下のほうにコッソリついてガクのように見える白い部分。
中央にスッと1本飛び出ている赤い部分が雌しべです。
ところで、このフワフワの雄しべ何本くらいあると思いますか?
100本くらいはあるかな~と数えてみると・・・なんと!!!約230本ありました。
このたくさんの雄しべが幻想的な光景を生み出しているのですね。
ねったいかんには、回廊の鉢植えのほか温室の池の近くにヒッソリと定植されています。
なぜ・・・?そんな奥まったところに・・・と思われるかと思います。
なぜなら・・・満開のサガリバナが朝、落花して池の上をプカプカ浮かんでいる幻想的なシーンをみな様にご覧いただくためです。
・・・とはいえ、残念ながら、こちらのサガリバナがツボミをもったことはまだありません。
いつか、たくさんの花を咲かせてくれることと思います。
楽しみにしていてください。私たちも、がんばります。
回廊のサガリバナ、朝一番だと落花していない時があります。まだツボミがありますので、ぜひご覧になりに来てください。
H記
サンタンカが咲いています(見どころ情報8月21日号)
温室では、真っ赤なサンタンカの花が咲き誇っています。
サンタンカ Ixora
真っ赤な花といえば、オドントネマ ストリクツムも咲きだしました。
オドントネマ ストリクツム Odontonema strictum
こちらは見た目は地味なオオソウカ。
香りはとても甘くて魅惑的です。夕方頃が一番香りが強いです。
オオソウカ Artabotrys hexapetalus
冷室では、メディニラ スペキオーサの花がピンクのトンネルのように咲いています。
メディニラ スペキオーサ Medinilla speciosa
他にも、パキスタキス ルテアやベゴニアなどの花が咲いています。
パキスタキス ルテア Pachystachys lutea
ベゴニア Begonia
「ナツメヤシ」の話
ヤシの木と言えば島崎藤村作詞の童謡「椰子の実」でお馴染みの、
熱帯の海岸に生えているヤシの木を思い出すのではないでしょうか。
これはココナッツのとれる「ココヤシ」です。
もう1つ、砂漠のオアシスに生えているヤシの木を思い出す方はいないでしょうか。
エントランスから温室を見ると、池を隔てた正面に大きなヤシの木が3本植えてあります。
これが今日紹介する、砂漠のオアシスのヤシ「ナツメヤシ」です。
ヤシの花って見たことありますか?
人によってはヤシには花が咲かないと思っている方もいるかもしれませんね。
今、ねったいかんでは間近でナツメヤシの花をご覧になることができます!!
「えっ?これが花なの??」とおっしゃる方もいるでしょう。
ヤシは花びらのない地味な花を咲かせます。
花は地味でも、花が咲いた後には実をつけ、その実は食料となり、
人々の生活に役立っているんですよ。
英語ではナツメヤシの実を「デーツ」と呼んでいますが、イラクやアラブ諸国、北アフリカ地域では熟した度合いに応じて17もの名前でよぶそうです。
デーツは栄養面が非常に優れており、100gあたりカロリーが230kcal、
豊富なビタミンCと食物繊維が含まれます。
栄養価の高いデーツは世界の多くの民族が食料としています。
イスラム諸国では、ラマダーン(断食)期間中の日没後、初めに口にするのが牛乳とデーツだそうです。
また、遊牧生活をおくるベドウィンは、乾燥させたデーツと乳製品を主食としています。
チュニジアではデーツを小麦粉で包み揚げ、砂糖シロップに漬けるマクルードがあります。
では、デーツはいったいどんな味がするのでしょう?
ねったいかんでは、不定期ですがデーツのドライフルーツを販売していることもありますので、その際にはぜひ試してみてください。
見た目は地味なドライフルーツですが、結構おいしいですよ。
ねったいかんには、その他「ココヤシ」を始め、15種類のヤシがありますので、
いろいろな「ヤシの木」を探しに、是非遊びにきてください。
(MI 記)
今年2度目のバナナ(見どころ情報8月1日号)
三尺バナナがまた1房みのりました。
赤くてみずみずしいフルーツ、ミズレンブも成長中です。
冷室では、イワタバコ科の花々が美しく咲いています。
温室ではツンベルギア マイソレンシスのような鮮やかな花や、
ヤエサンユウカのような香りのある花など、様々な花をご覧になれます。