ビワとビワモドキの近いようで遠い関係

 昨年、開館以来じつに20年かけて初開花したビワモドキ(Dillenia indica・ビワモドキ科)。
今年は花芽をつけてくれるのか…?
心配していましたが、8月下旬には無事1個目の花芽(つぼみ)を発見!!その後も次々と着蕾(つぼみがつく)し、
今では順調に開花しています。
でも、こんな立派な花なのに1日で散ってしまいます。見られたらラッキーですよ!
ところで、ビワモドキの 「モドキ」ってことば、なんかビワ(Eriobotrya japonica・バラ科)よりおとっているみたいに感じませんか?
果実を見てみましょう。
ビワの果実はみなさん食べたことがありますよね。 とってもジューシーでおいしいです。
ビワモドキの実はというと… こんな感じです。 ツボミを大きくしたようですね。
ビワモドキの別名をゾウノリンゴといいます。
野生のゾウが果実を好んで食べることから、この名がついたといわれています。
果実には酸味があり、インドではゼリーやジャムに使いますが、そのまま食べてもあまりおいしくないようです。
花はどうでしょう。
こちらがビワの花です。ちょうど今くらいの時期から翌年1月くらいまで咲き続けます。
最後に葉を見てみましょう。
左がビワの葉、右がビワモドキの葉です。
なるほど。
この「モドキ」は葉のことを指しているのですね。
こうしてくらべると、葉が似ているだけで、果実と花はまったくちがう、別々の植物であることが分かります。
「ビワ」と「ビワモドキ」それぞれ魅力があって、優劣つけがたいですよね。
「ビワモドキ」じゃなくて、「ゾウノリンゴ」という名前のほうが、ビワモドキはうれしいんじゃないかな、
と勝手に思ってしまう私でした。
         
                                           (M記)

植物担当スタッフのこぼれ話 | 更新日:2015.11.01

「マングローブ」ってなに

「マングローブ」ってよく耳にしますが、植物の名前でしょうか?
「マングローブ」という名前がついた植物があるわけではありませんが、熱帯や亜熱帯地域の河口など、
満潮になると海水が満ちてくるところ(潮間帯)に生えている植物をまとめて「マングローブ」と呼んでいます。
「マングローブ」には川と海から栄養が集まり、樹木が密生するので様々な生物の隠れ家となっていて、
「命のゆりかご」とも呼ばれています。
また、「マングローブ」は海の水質を浄化することが知られ、注目を受けています。
2004年のスマトラ島沖地震の際、「マングローブ」が津波被害を軽減したことをご記憶の方も多いのではないでしょうか。
日本国内で、マングローブのみに分布する種は、メヒルギ、オヒルギ、ヤエヤマヒルギ、ハマザクロ(別名マヤプシキ)、
ヒルギダマシ、ヒルギモドキ、ニッパヤシの7種類です。
「ねったいかん」では、今「オヒルギ」の花が咲いています。
タコのウィンナーみたいなカワイイ形をしていますが、実になると枝についている状態で、根が伸び始め、
その先端に新芽がつき、果実から抜け落ちます。
親植物の上で子植物が育つので、胎生種子(たいせいしゅし)と呼ばれ、親を離れた種子は、
海流に乗ってひろがってゆきます。
「オヒルギ」の隣には「ヤエヤマヒルギ」があります。
タコやカニの足のように根が生えていて、今にも走り出しそうに見えませんか?
幹を支えるように根が伸びるので支柱根と呼ばれています。
「マングローブ」は遠浅で、しかも河口にあるので、泥がたまりやすく、酸素が不足がちになるため、地表に顔を出す根を
発達させるものが多いんです。
「ねったいかん」にはその他にも、メヒルギニッパヤシがあるので、是非ご覧ください。
上記7種の「マングローブ植物」は自然状態では潮間帯のみに生育するので、真の「マングローブ植物」と呼ばれています。
陸地での生育も可能な類似した種を「半マングローブ植物」と呼び、「ねったいかん」には、サキシマスオウノキやシマシラキ、
アダン、オオハマボウ、サキシマハマボウ、モモタマナ、クサトベラ、ホウガンヒルギ、ミフクラギ、ゴバンノアシ、テリハボク、
サガリバナ、イボタクサギ等がありますので、探してみてください。
しかし、残念なことに、近年、世界各地でマングローブの破壊が問題になっています。
東南アジアでは木炭の材料や、家畜の飼料とするため、また、日本向けにブラックタイガーなどのエビ養殖場とするため、
「マングローブ」が伐採されています。
これを機会に、皆さんも熱帯・亜熱帯地域のマングローブと、そこにすんでいる人々や動物のことを
考えてみませんか。
                                                   (MI記)

植物担当スタッフのこぼれ話 | 更新日:2015.09.27

マレーハウスの屋根、直しました!

 長い?  夏休みが終わりました。
例年だとまだまだ残暑厳しいこの時期、今年はどうしたことか…連日の涼しさにドンヨリ空模様。
なんだか夏のやり残しがあるようなさみしさを感じます。
 さて、今回はベンチの少ない温室内で、ホッとするスペース、マレーハウスについて。
マレーハウスって何?  と調べると、マレー系住民の伝統的家屋とありました。
暑さと湿気対策を考えた高床式住居。竹、木材、ニッパヤシなど、自然素材を使用して造られます。
ねったいかんのマレーハウス、長年の結露や水滴によってニッパヤシの屋根は穴だらけ。
今回、屋根の修繕に挑戦。
素材は、もちろん自然のもの。 温室内を探します。
ニッパヤシもありますが、まだ小さくて屋根の材料には足りません。
代用として、マニラヤシサトウヤシを使うことに!  ぬい合わせていくものは、繊維質で丈夫なビヨウタコノキに決定!
 まずは材料の準備。
ヤシを1枚ずつ切り、タコノキは、両端のトゲの部分を切ってから細くさいて、ヒモ状に。
水につけて、やわらかくして使用。
     本来どうやって作るのかはわかりませんが、今回はねったいかん流で!
なるべく丈夫に仕上げるため、マニラヤシの上にサトウヤシを重ねていきます。
   ヒモ状にしたタコノキでぬい合わせます。
穴に合わせたサイズをいくつも作っていきます。
出来上がったものを屋根にさしこんで完成!!!
空が見えなくなり、暗くなったような…気もしますが、とりあえず穴がふさがりました。
    今回はヤシの葉を乾燥させずに作りましたので、現在は新鮮フレッシュな緑の屋根がご覧いただけます。
しかし、乾燥とともにちぢみなど問題が起きるかもしれません。
その時は、その時で、いろいろ試行錯誤しながらチャレンジしていきたいと思います。
 最後に水滴対策として、クリアシートをさしこみました。
水滴箇所は移動できませんから、また、同じ場所に穴があくと思いますが、その時はまた、修繕しましょう!
                                       (H 記)

植物担当スタッフのこぼれ話 | 更新日:2015.09.06

プルメリアが咲いています。(見どころ情報8月20日号)

熱帯で人気の花といえば?
やはりプルメリアでしょう。
見た目がかわいく、香りもよい! ハワイのレイ(首飾り)に使われる花です。
今現在もたくさん咲いていますが、9月8日からは「プルメリアとハワイ展」も開催します。
プルメリア Plumeria
香りが良いといえば、イランイランも有名ですね。
回廊にて咲いています。
イランイラン Cananga odorata
また、シクンシも香りが良いです。
夕方ころに甘い香りが周囲にただよいます。
シクンシ Quisqualis indica
他にも、色とりどりのハイビスカスや、熱帯シャクナゲが咲いています。
ハイビスカス Hibiscus
シャクナゲ Rhododendron

植物担当スタッフのこぼれ話 | 更新日:2015.08.20

夏休み期間のねったいかん

とびきりの暑い夏を皆さんはいかがおすごしですか?
暑い!暑い!と、だらだらしていませんか?
①夏休みで思いっきりリゾートしている人
②夏休みなんて関係なく働きずくめの人、
③子供たちが夏休みでウンザリ?している人
④塾や受験勉強に追われ遊ぶひまのない人
⑤毎日プールに通っている人
⑥クーラーの効いたお家でごろごろしている人
いろいろな方がいると思いますが、ちなみに私は②です。 トホホ・・・。
でも別の時期にお休みはいただきます。
夏休みも半分は過ぎたので、せっかくなので「ねったいかん」で夏を思いっきり楽しんじゃいましょう!
 「ねったいかん」といえば聞くだけで「暑苦しそう」と思われるかもしれませんが、
なんと! 暑いのは温室と回廊だけ! 他はクーラーが入っています。
冷室(熱帯の高山を再現している場所) は夏でも最高気温が25度をこえないように管理しています。 
しかもミスト付き!
 館内もみなさんに楽しんでもらえるように夏休みバージョンにしてみました。
エントランスのデザインはみんなでアイデアを出し合ってかざりつけしました。
今までにない仕上がりになっていると思いませんか?
昆虫の展示やふれあいコーナーはもとより
お子さんの夏休みの自由研究のおたすけノート
植物のおもしろさを伝えるパネル
水鉄砲でバンダに水やり体験や実物大のバナナの葉と背比べコーナー、食虫植物の展示などなど・・・・
 
いろいろあります。
またジャワフトモモ(レンブ)やフクギ、アメイシャ、ミラクルフルーツなどの果実も実っていますので見に来てくださいね。
待ってま~す。
ジャワフトモモ(レンブ)
フクギ
                                                    (K記)

植物担当スタッフのこぼれ話 | 更新日:2015.08.07

バナナの花が咲いています(見どころ情報7月31日号)

バナナの花が咲きだしました。
赤紫部分は、たくさんのツボミを包み込んだ苞 (ほう:葉が変形したもの) です。
この部分はバナナ ハートと呼ばれます。
バナナ  Musa
こちらはミズレンブが実っています。
朝収穫した場合には試食会を行っています。
 ※数には限りがございます。 ※収穫できた日のみ行っております。
ミズレンブ Syzygium aqueum
きれいな花もたくさん咲いております。
真っ赤なサンタンカは沖縄の街中でよく見かける鮮やかな花です。
サンタンカ Ixora
かわいらしいコエビソウ。
ほんのり赤い部分がまるで小さなエビのようです。
コエビソウ Justicia brandegeana
熱帯植物を展示するねったいかんですが、山の上を再現した冷室はとても涼しいです。
こちらでも、様々なお花が咲いています。
メディニラ スペキオーサ Medinilla speciosa
熱帯シャクナゲ Rhododendron
ベゴニア Begonia

植物担当スタッフのこぼれ話 | 更新日:2015.07.31

ウサギが舞う?ねったいかん

最近、暑い日が続いていますね。
梅雨はどこへ!!というくらいです。
しかし!暑い時こそ、熱帯の植物を見ていただきたい。
暑い時期にこそ、咲きだす花も多いのです。 南国気分が味わえますよ。
さて、東南アジアの熱帯雨林には数年に一度、ウサギが空を舞います。
なんのことか分かりませんて? そのウサギとは…
これはフタバガキのタネです。
どうです? ウサギに見えませんか。
柿に似た実に羽が2枚ついているので、二葉柿と呼ばれています。
本当は全部で5枚の羽があるのですが、そのうちの2枚が特に大きいために、ウサギのように見えるのです。
5枚すべてが大きい種類もありますけどね。
フタバガキ科の樹木は熱帯雨林にのみ見ることができ、そのほとんどが東南アジアの熱帯雨林に分布しています。
東南アジアの熱帯雨林では、とても不思議な現象を数年に一度見ることができます。
それは、森の樹木の一斉開花という現象です。
じつに森の樹木の8割近くが一斉に咲くと言われています。
四季がはっきり分かれている、日本の樹木のように毎年花が咲くわけではないのです。  
サクラを毎年花見する、われわれ日本人にとっては、なじみのない話ですね。
一斉開花の原因は長い間、研究者の間で謎とされています。
なにせ数年に一度、しかもいつ起こるのかわからないわけですから、調査するほうも大変です。
仮説では低温と乾燥が影響している、または一度に大量に実を付けることで、種を食べつくされず、
子孫が残しやすいからなど諸説あり、まだ完全には解明されていません。
きっと一斉開花のあとにはたくさんのウサギのようなタネたちがクルクルと空を舞うのでしょうね…
さて、じつはねったいかんでは様々なフタバガキ科樹木のタネをある場所で見ることができます。
それは… ガラス戸の取っ手の中です。 館内の各所にあります。
知っていましたか?
ねったいかんにもウサギが舞っていますよ。(取っ手の中なのが残念ですが…)
                                                         (M記)

植物担当スタッフのこぼれ話 | 更新日:2015.07.16

「ねったいかん」の花壇もはなざかり

「ねったいかん」といえば、珍しい植物。
温室の中では、もうすぐ咲き終わる「ヒスイカズラ」、原色の苞(ほう)が魅力的な「ヘリコニアロストラタ」をはじめ
いろいろな花が咲いています。
でも、温室の外にも、いろんな植物が、花を咲かせ実をつけているんですよ!
という訳で、今回は温室の外、花壇(入口の手前、駐輪場の辺りをこう呼んでいます)の植物の紹介です。
駐輪場の反対側、入口左手、「ねったいかん」の表札の前には、色々な「ハーブのコンテナ」が置かれています。
エキゾッチックな香りをお楽しみください。
入口右手、駐輪場の手前では「ねったいかん」で初めて咲いた、ニュージーランド原産の「ニューサイラン」
花茎を長くのばしています。
その手前には、細長い花茎に小さなチョウがまっているような「ガウラ」の花が咲いています。
「ガウラ」の隣や奥にあるチョットめずしい植物は「アカンサス」
実はこの植物、古代ギリシャ建築や円柱などで彫刻のモチーフとして用いられ、ギリシャの国花としても有名な花なんです。
もうすぐ咲き終わってしまうので、今のうちに是非ご覧ください。
駐輪場の手前でひときわ目立つのは、何と言っても、魅惑的な花色の「ジャカランダ」
世界三大花木の一つとして、有名です。3年ぶりに咲きました。 見逃さないでね。
駐輪場の辺りで一番目立っているのは「セイヨウニンジンボク」
南ヨーロッパでは、「この木で作った杖は旅人を守ってくれる」といわれ、巡礼者がもちいる身近な植物だそうです。
昔は乾燥した果実を薬にしたり、コショウの代用に、現在は、健康食品やハーブティーに利用されているそうです。
なんだか愛嬌のある丸くかりこまれた植物は、地中海地方で有名な「オリーブ」です。
その他にも、さわやかな香りの「センテッドゼラニューム」「ローズマリー」の花、「グァバ」の花も咲いています。
「ストロベリーグァバ」はかわいらしい実をつけはじめました。
グァバ
ストロベリーグァバ
また、「ブルーベリー」、「ヒメリンゴ」の実もだんだん大きくなってきました。
ブルーベリー
ヒメリンゴ
「ねったいかん」の花壇には、なんと約80種類もの植物が植えてあるんです。
皆さんも、”ねったいかん”に遊びにきて、温室の中だけでなく、温室の外に、どんな植物があるか探してみてね。
                                                         MI記

植物担当スタッフのこぼれ話 | 更新日:2015.06.25

ヘリコニア ロストラタが咲いています(見どころ情報6月13日号)

熱帯らしい真っ赤な色合いのヘリコニア ロストラタが咲いています。
ヘリコニア ロストラタ Heliconia Rostrata
黄色と白のパキスタキス ルテアもきれいです。
パキスタキス ルテア Pachystachys lutea
香りの良いプルメリアとギンコウボクも咲いています。
見つけたら、ぜひ香りを楽しみましょう。
プルメリア Plumeria
ギンコウボク Michelia alba
冷室ではメディニラ スペキオーサが咲いています。
つぼみがドンドン出てきているので、冷室の階段がピンクのトンネルになりそうです。
メディニラ スペキオーサ Medinilla speciosa
また、イワタバコ科のきれいな花々が咲いています。
マツムラソウ Titanotrichum oldhamii
ストレプトカーパス Streptocarpus

植物担当スタッフのこぼれ話 | 更新日:2015.06.13

香りをもとめて

 今回はねったいかんの香りに注目して温室内を歩いてみたいと思います。
地下水族館から階段を上がってすぐ、うっすらと甘い香り。 バニラです。
昨年、実を付けてから約1年をかけ自然発酵しました。
 
根がむき出しのラン、バンダが咲いています。 鼻を近づけてみると… 香りはしません。
 
白からピンク、そして紅色へと色変わりするシクンシ。 こちらもほんのり甘い香り
エキゾッチックな香りがただよっています。 どこからかな・・・?   ギンコウボクでした。
かすかになにか香ってるような…?  世界最大のフルーツ、ジャックフルーツ
 
カカオノキにも実がなっています。 チョコレートの香りは・・・しませんでした。 
冷室をぬけて、回廊へ。
イランイラン
ねじれて垂れ下がる長い花弁(かべん:花びら)。 色は目立ちませんね。 緑色。 徐々に黄色に変化します。
香水の原料にも使われ、クレオパトラも愛した香りといわれています。
どうでしょうか…。 うん。 いい香り。
クレオパトラも…なんて聞いてしまうと高貴な香りに感じてしまいます。
 
プルメリア。 種類によって、少しずつ香りが違うようです。
 
南国の花の代表、ハイビスカス。 どれどれ、トロピカルな香りが・・・しませんね。
 
外の花壇にはセンテッドゼラニウムがモリモリ。
こちらは花ではなく、葉をふれるとフワッといい香り。 癒されます。
たくさん香りを楽しんできました。
花はすべてに香りがあるわけではないんですね。
私たち人間には感じなくても、受粉をしてくれる虫たちには感じるもの、実や葉から香りがするもの、いい香り、
いやな香り、いろいろです。

それぞれ、アピールの仕方が違うのは人間も植物も同じなのかもしれませんね。
ぜひ、香りに注目して温室内をまわってみて下さい。
夕方から強く香る花も多いので、夕方からがおすすめです。
                                                (H記)

植物担当スタッフのこぼれ話 | 更新日:2015.06.12
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