飼育係は見た!

少しずつ春が近づいて来ている気配がする、今日この頃。
私の頭の中は今、3月10日からの春休み特別展“体感水族館”のことでいっぱいです。  
     
さて、2月14日にサンゴの水槽を ながめていたときの出来事をご紹介します。
サンゴの水槽には、2011年10月8日のつぶやき話でお話したように、かくれキャラ的な生物 がいろいろいます。
サンゴ水槽
中には水槽内にいるものの、岩のすきまなどに隠れてしまって、
どこにいるのか行方不明(!?)になってしまう生き物も。  
2月14日には 、キンチャクガニという、甲幅1cmくらいの小さなカニをすごく久々に発見しました。
キンチャクガニ
すごく小さいカニで、ハサミには、これまた小さなイソギンチャクをはさんで“フリフリ”するという、
とってもかわいらしいピンク色のカニです。  
ところで、水族館の水槽には「魚名板(ぎょめいばん)」という、魚の名前や学名、
科などを写真といっしょに載せたものが貼ってあります。
魚名板
これは、お客様が「あれ、あの魚、なんていう魚かな?」と思ったときに見ていただくために設置されているのですが、
水槽に入れたものの、 あまり見かけなくなってしまった生物については、飼育係はとっても困る訳です。
魚名板を貼っていてその生物が見当たらないと、お客様からたまに 「この生物どこにいるんですか?」と聞かれたり。
はたまた「もしかしたらもういないのかも・・・」と思って魚名板をはがすと、突然ちらりと現れる・・・。
 
そしてお客様に「あの生物、なんていう生物ですか?ここに載ってないんですけど。」と聞かれたり・・・。
まぁ、かくれキャラ的な生物をあの水槽で展示しようとする私が悪いのですが、本当によく頭を悩まされます。
今回発見したキンチャクガニに限っては、ずいぶん長い間見かけなかったため、
数ヶ月前に魚名板を外し水槽の中にいないものと思っていた生物。
ちっちゃいだけに、いろんなところにかくれんぼしていたのでしょう。
そんなにかくれてないで出てきてほしいなぁ・・・。
自信を持ってキンチャクガニを展示するために、最近新たなキンチャクガニが20匹 やってきました!
これでみなさんに見つけてもらえるようになるでしょうか。
それとも、またかくれてみんなを困らせてくれるのでしょうか・・・。
とりあえず、魚名板はつけることにしました。
ねったいかんへ来た際は、サンゴの水槽でキンチャクガニを探してみてくださいネ。
そして見つけたときにはぜひ、スタッフへご一報を!

水族館担当スタッフのつぶやき話 | 更新日:2012.03.01

じゃがいもプレゼント

今回はまた水族館ネタとは違う話題をひとつ。
19日、ねったいかんでは「芋と豆展」にちなんだイベント 「じゃがいもプレゼント」がありました。
北海道産のメークインを先着100名様にプレゼントする、というものだったのですが、
実は私が大学のときにアルバイトしていた農家の木村さんから仕入れたもの。
函館から車で約1時間くらいのところにある厚沢部(あっさぶ)で、大学4年の夏休みに2ヶ月ほど
住み込みでアルバイトしていて、ジャガイモやニンジン、
トウモロコシなどの収穫や箱詰めなどの作業をお手伝いしていました。
今でも秋ごろになるとその年に収穫したジャガイモを送ってくれるので、
家族や友人、会社の同僚の方におすそ分けするのですが、そのおイモを食べて、
ねったいかんの植栽担当の方が、
「すごくおいしかったので、今年の芋と豆展でプレゼントしてはどうか?」と提案してくれたのです。
今年は木村さんが「なんとなしイモ」と呼ぶ、形が悪かったりして売り物にはちょっと・・・
でも捨てるのはもったいないジャガイモがたくさんあったとのお話を聞いていたので、
木村さんにお願いしてねったいかんへ送ってもらいました。
2Fの展示室でも販売させていただいているのですが、
大変好評で“イモリピーター”として来館して くださるお客様もいたほど!
ちなみに私の今日の朝ごはんは、木村さん家のジャガイモ入りのシチュー。
甘くてとってもおいしかったです。
形が悪いと言っても大して気にならないくらいのものだったのですが、
確かにスーパーで野菜を買うときには形や色のいいものを選んでしまっているなぁ・・・と振り返ってみたり。
ジャガイモプレゼントのために開館前から並んでくださったお客様もいて、
15分でジャガイモはすべてプレゼント終了。みなさま、ありがとうございました。
マサオさん、トシエさん、なっちゃんも、おいしいおイモをどうもありがとう!
まさか、こんなところで木村さんとのつながりが活かされるなんて自分でも驚きですが、とても嬉しかったです。
人とのつながりはイイモンだなぁ・・・と。
イモだけに・・・。
つまらないこと言ってないで、仕事に戻るとします。

水族館担当スタッフのつぶやき話 | 更新日:2012.02.22

チンアナゴの全貌 (ぜんぼう)

半月ほどご無沙汰してしまいました。
かぜやインフルエンザが 流行っているようですが、みなさまお元気ですか?  
   
さて、2月12日にある生き物 たちが新たにやって来ました。水族館でもかなり人気のある、チンアナゴです。
砂の中から顔を出して、にょろにょろしているのがとってもかわいい魚です。
さてこのチンアナゴ、もちろんアナゴの仲間なので体は細長く、全長はなんと30~40cm。
ふだんは見ての通り、体のほとんどを砂の中にうもらせているので、全身はなかなか見ることができません・・・。
「チンアナゴの全身を見てみたい!」というお客様も多いため、
今回の搬入時に何とか写真に収めようとがんばってみました。
まず、魚たちはこんな風に厚手のビニール袋に入って水族館へやってきます。
水族館にやってきても、すぐに水槽に放すわけではありません。
水槽と袋の中の水とでは、 温度や水の状態(比重やペーハーなど)がちがうため、
少しずつ水槽の水に慣らせる「水合わせ」 という作業を行います。
・・・さぁ、そしてとうとうチンアナゴを水槽内へ放すときが!これがチンアナゴの全貌(ぜんぼう)です!!!
にょろにょろと泳いで、自分の新居となる穴を掘る場所を探します。いい場所が見つかったら、この通り。
シッポから、ぐいっぐいっぐいっと穴を掘っていくのです。だいたい5秒くらいですっぽり収まってしまいます。
15匹のチンアナゴを搬入したのですが、1人で水合わせをしてチンアナゴを放し、
バックヤードから表にダッシュして写真撮り。
上の3枚が今回一番うまく撮れたチンアナゴの穴掘り写真でした。
水族館に設置している解説シートにも近々これらの写真を載せようと思います。

水族館担当スタッフのつぶやき話 | 更新日:2012.02.16

沖縄に行ってきました

今回のつぶやき話は、ねったいかんネタから少し飛び出して、
個人的なことをひとつつぶやいてみようと思います。
 
1月14日から16日に3連休をいただいて、沖縄へ行ってまいりました。こんな寒い時期ですが、
海へ潜りに行って来ました。
3日ともあいにくのお天気でした・・・
14日はジンベエザメの飼育されている生簀(いけす)に1本潜り、15日は慶良間(ケラマ)で3本。
水中カメラを持っていないので、写真を皆さまにご紹介できないのが残念ですが・・・。
少しダイビング中に見ることができた生き物や感想などをつづりたいと思います。
   
今回のダイビングで一番うれしかったことは、水中でザトウクジラの声が聞けたこと!
ザトウクジラは冬になると、繁殖や出産、子育てのために暖かい海にやってくるのですが、
1月頃から沖縄ではホエールウォッチングのシーズンだそうです。
船からは残念ながら姿を見ることができなかったのですが、潜っている間に息を止めて耳をすますと、
遠くのほうからクジラの声が聞こえてくるのです。
生の声は初めて聞いたので、大感動でした!
ねったいかんで展示したことのある生き物もいくつか見ることができました。
キンギョハナダイやハタタテハゼ、クロユリハゼにキイロハギ、トゲチョウチョウウオ、シマキンチャクフグ、
ウミテング、オニダルマオコゼ、オドリカクレエビなどなど。
キイロハギ
キンギョハナダイ
ハタタテハゼ
クロユリハゼ
オドリカクレエビ
トゲチョウチョウウオ
ウミテング
オニダルマオコゼ
シマキンチャクフグ
水槽の中で展示している生物を実際の海で見られたときも、とてもうれしい気分。
そして、「この美しい海の景色を水槽の中で再現したい!」と思うのです。
実際の海に潜ると、新しい発見がたくさんあり、
その魅力をできるだけ多くのお客様に知ってもらいたくなります。
3月には春の特別展「体感水族館」という特別展も控えていますので、
みなさまに生き物の面白さをたくさん伝えられるように精一杯頑張ります!!! お楽しみに!

水族館担当スタッフのつぶやき話 | 更新日:2012.01.28

暗くなってからのお楽しみ②

前回のつぶやき話に続き、夜のねったいかんの見どころポイント第二弾です!
 
夜の見どころ②:ミツヅノコノハガエル
温室内を歩いて進んでいったところにある、カエルやトカゲたちの水槽。
その中でも人気のある「ミツヅノコノハガエル」。
マレーハウスの下の・・・
ミツヅノコノハガエル
大きなカエルで落ち葉に擬態(ぎたい) しているため茶色い色をしていて、
目の上や鼻先がとがっているのが特徴です。
地面でじっとひそみながら、目の前をエサとなる虫たちが通ったとたん、
ひゅっ!と長い舌を伸ばして丸飲みにしてしまいます。
さて、このミツヅノコノハガエルの何が夜ならではかというと・・・。鳴き声です。
暗くなってくるとねったいかん内に響き渡る「ガッ!」という大きな鳴き声。
本当に大きくて、地下の水族館にいても
2階にいても聞こえるほどです。
何も知らずに聞いた人は、おそらく何の音かわからないのではないでしょうか。
カエルが大きな鳴き声で鳴くということは元気の証でもあるので、
この声を聞くと私としてはとてもうれしく、声を聞いてはにんまりしています。
ミツヅノコノハガエルの鳴き声がねったいかんの夜の見どころならぬ、「聞きどころ」第二弾でした。
閉館時閑が近くなるとお客様も少ないので、お魚たちもゆったりリラックスモード。
タイミングがよければ貸切状態で楽しめることもあります。
昼間にしか来たことのない方、ぜひ夕方~閉館時間あたりに一度遊びに来てみてくださいね。

水族館担当スタッフのつぶやき話 | 更新日:2012.01.18

暗くなってからのお楽しみ①

3連休 が終わると、そろそろ学校も始まるころでしょうか。
今年の冬休みは楽しく過ごせましたか?
 
さて、ねったいかんの開館時間は10時から夜の6時(最終入館は5時半)までなのですが、
夕方以降のほんのわずかの時間、暗くなったときにしか楽しめない、
夜のねったいかんの見どころポイントをご紹介!
今回はその第一弾です。
夜の見どころ① : 池水槽のボルネオカワガメ。
ねったいかんで一番大きな池水槽。
大型の淡水魚がたくさん泳いでいるのですが、じつはボルネオカワガメというカメも一緒に生活しています。
池水槽にすんでいる・・・
ボルネオカワガメ
ボルネオカワガメは、最大で甲長80cmにもなる大型のカメ。黒いつぶらな瞳がチャームポイントです。
基本的に水中生活をするはずなんですが、なぜか日中はずっと陸地の茂みにかくれてしまい、
展示効果の低さはねったいかんでNO.1・・・。まさに飼育係泣かせのカメさんです。
日中はこのあたりの茂みにいます
でも暗くなってくると、のそのそっと池に入ります。ぽちゃり。
そしてつぶらな瞳で私のほうを見つめるのです。
「おなかすいたな・・・」
目力!
その目力に負けて、私はエサをぽろぽろっと与えます。それをなんとかわいらしく食べることか!
最近の私の癒しでございます。ぜひみなさまにも、ボルネオカワガメにじっと見つめられてみてほしいです。
本当にカワイイ・・・。夜しか出てこないけど、それでも好き!大好きです!
ただ、これから日が長くなるにつれ、カメを見れる時間が短くなってしまうのが悩みどころ。
心を鬼にして、昼間にエサを食べる訓練をしなきゃいけないかなぁ、と頭を悩ませております。
次回、夜の見どころ②をご紹介します。お楽しみに!

水族館担当スタッフのつぶやき話 | 更新日:2012.01.09

手間がかかる子ほど可愛い!?②

新年明けましておめでとうございます。
年が変わって少し時期遅れになってしまいましたが、
12月17日のつぶやき話に続き、今回はクリスマス水槽ができるまでの過程その2をご紹介したいと思います。
   
大変ご好評いただきました、クリスマス水槽。
ツリーとリースがいったい何でできているかというと、コレです。
リースの土台はそのまま使えますが流木についてはツリー型にカット、
そして南米ウィローモスというコケを巻きつけていきます。
前回のつぶやきに登場したリシアは釣り糸で巻いたのですが、
こちらは100円ショップで買った裁縫用の緑の糸で巻いてあります。
5mm~1cm程度の幅でひたすらグルグル巻き巻きしていきます。
ウィローモスはリシアよりもややフサフサしているのですが、それを糸で密に巻いていくと、
まるで薄切りする前のチャーシューのよう。ツリーにはほど遠い・・・。
チャーシュー感がなくなるように、こちらも数週間養生しました。
時間をかけた甲斐もあり、ちゃんとクリスマスツリーらしくなってくれました。
リシア、ウィローモスともに、時間も手間もかかりますが、とても素敵な水中クリスマスを演出することができます。
家に水槽がある方は、来年のクリスマスに挑戦してみてはいかがでしょうか?
今年も皆さまに楽しんでいただけるように色々と頑張ります。
どうぞよろしくお願いいたします。

水族館担当スタッフのつぶやき話 | 更新日:2012.01.02

手間がかかる子ほど可愛い!?①

12月10日の皆既月食は皆さまご覧になりましたか?
 
私は家のベランダで、あったかいお茶をすすりながらの天体観測でした。  
さて、前回のつぶやき話ではクリスマスの水槽をご紹介しましたが、
今回はあの水槽ができるまでの過程を皆様にお伝えしようと、筆、もといパソコンを取った次第であります。  
     
まるで黄緑色の絨毯(じゅうたん)のように見えるこのコケ、“リシア”といいます。
このリシア、水槽ではまるで地面から生える水草のように見えるでしょ?
でも実はリシアは水面に浮くタイプのコケ、浮きゴケなのです。
では、なんで沈んでいるのかというと、ここには私の涙ぐましい努力が・・・。
この水槽のリシアは写真ような薄っぺらい石に巻きつけられて底に沈んでいるのです。
細い釣り糸を使ってリシアをこの石に、「いーとー(糸)まきまき、いーとーまきまき♪」です。
1つの石に巻き巻きするのに要する時間は約3~5分。(慣れてだいぶ速くなりました)
1つの石がこのサイズなので、大きなクリスマス水槽に沈めるとなるとなんと約100個以上の石が!
ひたすら石に巻きまき、巻きまき、巻きまきまき・・・。
巻きたてのリシアを並べてもこの通り、石をしきつめた感丸出し。
これを水槽に沈めて時間をかけて養生(ようじょう)します。ときには先端のカットも行います。
 
すると和名で鹿角苔(カヅノゴケ)といわれるリシアらしく、分岐(ぶんき)を重ねながらすくすくと育ちます。
そしてこの通り、見事な美しい絨毯(じゅうたん)になるのですね。
手間のかかる作業が多いリシアですが、
その分美しく育ってくれたときの喜びと言ったらなんと表現していいものか!
親心といっても過言ではありません。
 
さて、次回はツリーやリースに使用したコケ、ウィローモスについてつぶやこうかと思っております。
 
お楽しみに!

水族館担当スタッフのつぶやき話 | 更新日:2011.12.17

フラワー・クリスマス始まる

あっという間に師走になってしまいました。すっかり冬ですねー。
 
12月6日より、クリスマスの企画展「フラワー・クリスマス」が始まりました。
2Fの展示室にはきれいなお花が盛りだくさんで、とっても楽しい雰囲気です。
さて、もちろん水族館担当の私も水槽を1本置かせてもらいました。コレ。
ウィローモスというコケで作ったクリスマスツリーにクリスマスリース。
 
そして、ゴールデンテトラ(といっても、色はなぜかシルバーです)がキラキラと輝きながら泳いでいます。  
下のほうにはクリスマスカラーのエビたちも。
黄緑色したじゅうたんのように見えるものも実はコケです。
光合成が活発になると小さな気泡をたくさんつけて、コケのじゅうたんもキラキラ輝きます。  
自分で作ってなんですが、とっても癒されますよー。じつはこの水槽、仕込み始めたのは1ヶ月ほど前。
うまく水草が育つか不安だったのですが、裏の水槽で時間をかけてじっくりと育てた甲斐がありました。
 
   
さぁ次はお正月に向けて頑張るぞー!

水族館担当スタッフのつぶやき話 | 更新日:2011.12.08

こんなところにあんなものが!

最近ねったいかんで起きたちょっと珍しい出来事を今回は紹介したいと思います。
 
ねったいかんでは現在3匹のトラザメを飼育していて、
メスのトラザメは月に1回くらいのペースで卵を産んでいます。
トラザメ
トラザメの卵
自然界では、卵の上下に付いているクルクルとしたものを海藻などに巻きつけて固定するのですが、
水槽の中には海藻がないので、普段は砂の上にぽろっと落ちていることがほとんど。  
しかしながら今回はこんなところに産み付けていました。
どこに卵があるかわかりますか?拡大してみましょう。
そうなんです、なんと、タカアシガニの脚の付け根に卵がくるくると巻きついているんです!
 
母ザメはいったいどうやってこんな見事に巻き付けたのでしょうか。  
私もそのシーンを見ることができず・・・非常に残念です。  
     
それはさておき、もしもちゃんと受精した卵であれば、うまくいけばタカアシガニに守られて卵の中で
赤ちゃんザメがすくすくと成長するかもしれません。これはとっても楽しみです。  
     
今は卵の中には卵黄しか見えませんが、発生が順調に進むと下の写真のように赤く血管が走り、
小さな小さなサメの赤ちゃんが見えるようになってきます。
そして卵黄を栄養にして成長し、約1年たった頃に5~10cmほどの大きさで卵から赤ちゃんザメが出てきます。
元気な赤ちゃんザメが生まれますように。

水族館担当スタッフのつぶやき話 | 更新日:2011.11.12
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