地球にやさしい植物たち 「ヤシ」
2階では小規模な企画展示「ECOライフしようよ♪
~リサイクル・リユース・リデュース~」がはじまりました。
「環境を守るために、限られた資源を大事に活用する」ことは
「エコ」な取り組みのひとつです。
そこで、今回は「無駄なく使える植物」をテーマに
「ねったいかん」の「地球にやさしい植物たち」をご紹介します。
植物は二酸化炭素を吸収し、酸素を作るはたらきをします。
そういった意味では、植物すべてが地球にやさしいと言えますが、
中でも利用価値が高い植物といえば、独特の木の形で知られる、「ヤシ」です。
ヤシの仲間の実は食べられるものが多く、幹は材木に利用され、
葉は、屋根の材料にしたり、かごや帽子、うちわを編むなど、
捨てるところがないとまで言われています。
ちなみに「ねったいかん」では、16種類のヤシを見ることができます。
そのうちのいくつかをご紹介しましょう。
ヤシの木と言えば島崎藤村作詞の童謡「椰子(やし)の実」でおなじみの、
熱帯の海岸に生えているヤシの木を思い出すのではないでしょうか。
これはココナッツのとれる「ココヤシ」です。
ココヤシCocos nucifera
ココヤシの果実内部にたくわえられた水は飲用になる他、
デザートで人気のナタ・デ・ココの原料となります。
固形胚乳の層はココナッツとして食用にする他、水分とともに砕いて
乳液状にしたものがココナッツミルクです。
葉は屋根やカゴの材料にもなり、幹は材木に利用されます。
ココヤシは海辺が似合うヤシですが、
ほかにも、砂漠のオアシスに生えているヤシを思い出す方もいるのではないでしょうか。
1階エレベーター前から見える、「ナツメヤシ」です。
ナツメヤシPhoenix dactylifera
「ナツメヤシ」の実は「デーツ」と呼ばれ、イラクやアラブ諸国、
西は北アフリカのモロッコまでの広い地域で、古くから重要な食物となっています。
長期保存ができ、砂漠のような雨が少ないところでも育つため、
サハラ砂漠の遊牧民やオアシスに住む人たちにとって、大切な食料となっています。
樹液を煮つめて、砂糖を作る「サトウヤシ」
サトウヤシArenga pinnata
当館のマレーハウスの屋根を葺 (ふ) くのに使われている「ニッパヤシ」
ニッパヤシNypa fruticans
果実から取れる油を工業原料、食用の植物油、パーム油として利用する「アブラヤシ」などがあります。
アブラヤシElaesis guineensis
アブラヤシから得られる油脂の量は、植物の中でも特に多いことから、
広大なプランテーションが数多く作られています。
マレーシアのボルネオ島では1960年代から木材調達を目的とした、
大規模な熱帯雨林の伐採が始まったほか、
1980年代にはアブラヤシのプランテーション開発が急激に進みました。
プランテーションは天然の熱帯雨林を焼き払ってから植えるため、森が消え、
大きな問題となっています。しかし、現地では生活にかかせない産業であるため、
この問題はなかなか解消されていないのが現実です。
その他にも「マルハウチワヤシ」「コモチクジャクヤシ」など、さまざまなヤシがあります。
植物を利用して、どんなエコができるか、一緒に考えてみませんか。
(MI記)
タカアシガニが脱皮しました
6月2日、深海水槽のタカアシガニが脱皮しました。
朝、出勤して各水槽を点検していると深海水槽の隅で
脱皮を始めているタカアシガニに気づきました。
脱皮中のタカアシガニ
昆虫や甲殻類などの節足動物は、成長につれて脱皮を繰り返します。
体の外側の固い殻で身を守っているのですが、
この殻は成長に合わせて大きくなることはありません。
そこで、成長するためには新しい殻を作って古い殻を脱ぎ捨てるのです。
実は脱皮はカニにとっては命がけの大作業なのです。
タカアシガニのように大型の甲殻類では、
完全に脱皮するまで6時間もかかる事があるそうです。
殻の後ろが横に割れて、そこから体を二つ折りにしたような姿勢で
後ろに抜け出るのですが、途中で引っかかってしまい脱皮できず
死んでしまう事もあります。
また、古い殻の内側に新しい外皮ができてから脱皮するのですが、
脱皮後しばらくは皮が柔らかくて、敵に狙われやすいのです。
今回も、同じ水槽にいたトラザメたちが怪しい動きを始めたので、
慌てて別の水槽に移しました。
左:脱皮したタカアシガニ 右:脱皮殻
ねったいかんのタカアシガニは何とか無事に脱皮を終えることができました。
脱皮後は、水分を吸収して体を膨らませ、殻が固くなるのをじっと待ちます。
こちらは夕方17時に撮影した写真です。
右の古い殻に比べ、ずいぶん大きくなっているのがわかると思います。
一回り大きく成長したタカアシガニを、ぜひ見に来てくださいね。