こぼれ話「ねったいかん」の下草たち(第3回)

「下草」や「グラウンドカバープランツ(地被植物)」など、地面や石垣を覆う植物のご紹介も今回が最終回です。
三回目にご紹介するのはブリッジ前の食虫植物のある広場を右に曲がったところから、冷室で見られる下草などの植物です。



広場を曲がった右側のプルメリアやキワタノキの根元にグズマニアが下草のように生えています。
左側にはタピオカでおなじみのキャッサバなどの根元をコウシュンサギゴケという、キツネノマゴ科の植物が覆っています。




グズマニアGuzmania


パイナップル科の植物ですが実はなりません。花が一度咲いた株は開花しませんが、かわりに株の周りに子株を出します。
子株を切り離して大きく育てると、また花が咲きます。




コウシュンサギゴケStrobilanthes primulifolia(Hemigraphis primulifolia)



葉脈と葉の裏が濃い紫色をしており、紫を帯びた小さな白い花を咲かせます。
寒さにはやや弱いですが、極めて強健で、温室内では雑草のように繁殖力が旺盛な植物です。



バナナのコーナーを右に曲がると園路の左側を紫色のゼブリナペンデュラが覆っています。
ところどころにツユクサに似た、ピンクのかわいらしい小さな花を咲かせています。
マレーハウスの向かいの石垣を覆うのは、アスパラガスデンシフロルス‘スプレンゲリ’です。




ゼブリナペンデュラTradescantia zebrina(Zebrina pendula)
和名:シマムラサキツユクサ(縞紫露草)


葉の縞模様と裏面の暗紫色が特徴的です。
多湿で日陰の環境を好みますが、よく日光に当てて乾かし気味にすると特有の美しさになります。
ツユクサのような淡い紫色の小さな3弁花をつけます。



アスパラガスデンシフロルス‘スプレンゲリ’ Asparagus densiflorus ‘Sprengeri’


葉のように見えるのは茎が変化した仮葉(葉状枝)と呼ばれるものです。
仮葉はつる性で下垂する性質があります。夏に小さな白い六弁花を咲かせ、今は緑と赤の果実をつけています。




冷室に入ると正面の石組の上を丸い小さな葉を付けた植物がまばらに覆っています。
今は咲いていませんが、レースフラワーバインの名の通り花弁のふちがレースのように深く切れ込んだ花を咲かせます。
入口左の石垣の上ではストレプトカルプス‘コンコルドブルー’が淡い青紫色の花を咲かせています。石垣の右の方を覆っているのはエスキナンサスプルケールです。冷室の中にはエスキナンサスが6種類ほどあるので見比べてみてください。



レースフラワーバインAlsobia dianthiflora


脈が暗赤色を帯びた小さな葉を付けた匍匐茎を出し、地面に広がります。
耐寒性はやや弱いですが、性質は強健です。写真は美しい白い花を咲かせたところです。



ストレプトカルプス‘コンコルドブルー’ Streptocarpus’Concord Blue’


葉はやや肉厚で茎は枝分かれして長く伸びます。花茎を10cmほど伸ばして、その先に先端が5裂した、淡い青紫色のラッパ型の筒状花をつけます。一定の気温が保てれば、一年中開花します。



コンテリクラマゴケSelaginella uncinata




この仲間では大柄で、青みを帯びた葉が美しく、人気があります。
葉は茎の下側から左右両側に出る腹葉と茎の背面に並ぶ背葉の区別がありますが、いずれの葉も表面に紺色の光沢があります。





タチシノブOnychium japonicum


山野に普通に自生するシダの一つです。非常に細かく葉が裂けるのが特徴的です。全体に鮮やかな緑で、つやがあります。




イヌケホシダThelypteris dentata



世界の熱帯に分布し、近年は都市部に移入。
熱帯植物の鉢植えなどとともに移動した移入種と考えられています。石垣の隙間や側溝、排水溝など湿ったところに育成します。




オニヤブソテツCyrtomium falcatum



海岸の崖地や内陸の丘陵地帯に生育します。崖地に生育する場合には垂れ下がりますが、平坦地では立ち上がります。
海岸では、葉の表面に塩の結晶が付いて白くなっていることがありますが、オニヤブソテツの葉は、水が浸透しない表面構造になっているそうです。



地味で素通りしがちな雑草のような植物ですが、一部の植物を除いては、関東地方の屋外ではめったに見られない、れっきとした熱帯の植物です。この機会に、冬も暖かい「ねったいかん」で普段は見過ごしがちな植物たちをあらためて観察してみませんか?



(MI記)

植物担当スタッフのこぼれ話 | 更新日:2019.12.27
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